寡占市場における企業結合審査で、水平型企業結合と垂直型企業結合の両方が問題となった事案

相談者は、製品Aを製造・販売する事業者でした。製品Aを製造・販売する事業者は、相談者を含め、国内に4社しかなく、相談者は、その4社のうちの1社である甲から、製品Aを製造・販売する事業を譲り受けることを検討していました。相談者が同事業を譲り受けると、製品Aを製造・販売する事業者は国内で3社となり、かつ、相談者は市場占有率が1位になるという状況にありました。
また、相談者の親会社は、製品Aを組み込んだより大きな製品Bを製造・販売する事業者であり、甲は製品Bの製造・販売も行っている事業者であり、両社は製品Bの製造・販売市場において有力な地位にありました。
このように、相談者が甲の製品Aの製造・販売事業を譲り受けることは、製品Aの製造・販売市場における競争に影響を与えるとともに(水平型企業結合)、川上市場である製品Bの製造・販売市場における競争にも影響を与えるものでした(垂直型企業結合)。
これらの点を踏まえ、公正取引委員会への企業結合審査の届出を行う前から、公正取引委員会の担当部門と密に連携をとり、早期に問題点の洗い出しと情報の提供を行うことによって、相談者の事業譲り受けのスケジュールに影響を与えることなく、公正取引委員会の承認を得て、終了しました。